Field Note

「ああ、なるほどね」を”おすそ分け” 国際協力、食、農業、経済、東南アジアを主とした雑記。

<書評>「原案と結果の経済学」データや統計情報に騙されないために。

 原因と結果の経済学を読みました。

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

 

 

一言で言うと、

 

世の中に出回っている統計やデータに騙されないためにはどうしたらいいか

 

について書かれた本です。

どちらかというと、レベル的には入門向きで、大学の研究で統計やデータ解析などをやってた人には当たり前のことが多いです。

逆に、

・あまり統計分析を本格的にやってこなかった

・基本的なレベルから平易な言葉で理解したい

 という人にはちょうどいいかもしれません。

例えば、

  1. 海岸を清掃し、その前後で海岸の魚の生息数を調べた
  2. 清掃を行なった海岸10箇所のうち5箇所で清掃前の年と比べて魚の生息数の増加が確認された
  3. よって、海岸の清掃は、海岸に生息する魚の生息数を増やす効果があることがわかった。

これが、ロジックとして無理があるのはだいたいみなわかると思います。

魚が増えたのは10箇所中5箇所の半分なんだから、清掃の効果かはわからない

ってことですね。

 

一方で、 

 

  1. 海岸を清掃し、その前後で海岸の魚の生息数を調べた
  2. 清掃を行なった海岸10箇所中全ての10箇所で清掃前と年と比べて魚の生息数の増加が確認された
  3. よって、海岸の清掃は、海岸に生息する魚の生息数を増やす効果があることがわかった。

これも実は分析としてはかなり穴がある理屈なのですが、どうでしょうか? 

 

ここで、「え?いいんじゃないの?」ってなる人、まさに本書の対象読者です。

 

色々と怪しげな統計や情報が出回る昨今、データの捉え方に対するリテラシーは身につけておいて損はないと思います。

 

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法