<書評>「原案と結果の経済学」データや統計情報に騙されないために。
原因と結果の経済学を読みました。
一言で言うと、
世の中に出回っている統計やデータに騙されないためにはどうしたらいいか
について書かれた本です。
どちらかというと、レベル的には入門向きで、大学の研究で統計やデータ解析などをやってた人には当たり前のことが多いです。
逆に、
・あまり統計分析を本格的にやってこなかった
・基本的なレベルから平易な言葉で理解したい
という人にはちょうどいいかもしれません。
例えば、
- 海岸を清掃し、その前後で海岸の魚の生息数を調べた
- 清掃を行なった海岸10箇所のうち5箇所で清掃前の年と比べて魚の生息数の増加が確認された
- よって、海岸の清掃は、海岸に生息する魚の生息数を増やす効果があることがわかった。
これが、ロジックとして無理があるのはだいたいみなわかると思います。
魚が増えたのは10箇所中5箇所の半分なんだから、清掃の効果かはわからない
ってことですね。
一方で、
- 海岸を清掃し、その前後で海岸の魚の生息数を調べた
- 清掃を行なった海岸10箇所中全ての10箇所で清掃前と年と比べて魚の生息数の増加が確認された
- よって、海岸の清掃は、海岸に生息する魚の生息数を増やす効果があることがわかった。
これも実は分析としてはかなり穴がある理屈なのですが、どうでしょうか?
ここで、「え?いいんじゃないの?」ってなる人、まさに本書の対象読者です。
色々と怪しげな統計や情報が出回る昨今、データの捉え方に対するリテラシーは身につけておいて損はないと思います。