Field Note

「ああ、なるほどね」を”おすそ分け” 国際協力、食、農業、経済、東南アジアを主とした雑記。

日本の家電メーカーが持っている、技術よりも価値のあるもの

最近凋落が著しい日本の家電メーカーだけど、外国人の間では依然として日本ブランドの神通力は健在だと感じる。

仕事柄、海外に行ったり、外国から来た人に日本を案内することが多いのだけど、日本のメーカーは人気だし、買い物してても、製品をひっくり返して、made in japanのものを探してる。

肌感覚だし、買う人の個人差もあるかと思うけど、日本ブランドというだけで、他国のブランドより、1,2割程度は高く売れるんじゃないかな、と感じる(友人、知人と話したり、実際買い物をする外国人を見ていての感覚です)

こうした経験から、これからの日本の家電メーカーが売るべきは、高い技術よりも、これまで高めてきたブランドなんじゃないかと感じてる。

 
ランドビジネスと言えば伊藤忠が有名で、ポールスミスなんかを扱ってる。
自分たちはカバン作るの専門じゃないけど、ライセンスを使って製品に付加価値を付けて(高い値段で)売る。
 
そう言った、ブランドで付加価値を付けて売るっていう姿勢を、日本の家電メーカーも、もっと持つべきではないかと。
 
ちなみに、伊藤忠のウェブサイトには次のような記述がある。
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商品に「ブランド」という付加価値を加えるブランドビジネスを業界に先駆けて切拓き、(中略)、グローバルマーケットにおけるブランド価値の最大化を図っています。 
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組織の方針として、商品のブランドが価値(高く売れる要素)であることを認識し、それを高める努力をしていることが伺える。
 
 
以前、とある生活消費財メーカーの方から、ブランドとは、
 
”同品質の他社製品よりいかに高く買ってもらえるか”
 
が基準の1つ(実際そういう指標がある)と聞いた。
 
例えば、同じような品質の石鹸が2つ並んで売られていて、1つは100円、もう1つは120円だったとする。
 
同じくらいの品質だから、100円のものを選ぶのが合理的なんだけど、ブランドにひかれて、120円の方を買う人もいる。
 
これは、120円の商品に、20円分(以上の)価値がある、といえる。
 
これが、"ブランド"なんだよ、と。
 
 
伊藤忠では、この価値の最大化を図っている、ということなんだろう。
実際、伊藤忠の繊維カンパニー(衣類、バッグなんかを扱ってる部門)には、ブランドマーケティングと名のつく部署が2つもあり、力の入れようが伺い知れる。
 
一方日本の家電メーカーはどうだったか。
 
同じ品質のものを高く売る、とは対極で、高品質(高い技術力)なものをつくり、安く売る。
 
というスタンスだったのではないか。
 
そこには、製品のブランドを高める(高く売る)という発想はなく、逆に、いかに品質を高めていくかというところに重点があったのではないかと思う。
 
もちろん、業界の製品全体が十分な品質に達しておらず、品質を高めること=消費者の価値であった頃はそれでよかったかもしれない。
 
でも、技術の進歩で、どのメーカーの製品も最低限の基準を満たしている現在の状況では、品質を高めること=消費者にとっての価値ではなくなってきている。
 
つまり、品質を高めること以外の側面から、消費者にとっての価値を高めていく必要があり、それは何かというと、日本メーカーというブランドだろうと思う。
 
ライセンスビジネスのような視点で、ブランド管理の部署でも作って、いかに高く売るか、いかに自社ブランドの価値を高めるか、イメージを良くしていくか、に力を入れていけば、日本のメーカーもまだまだ戦えると思う。
 
と言うか、今まで長い時間をかけて磨きあげてきたブランドという資産を有効活用しないなんてもったいない!
 
 
がんばれ!日本の家電ブランド!
 
 
<2018年6月追記>
ホンハイに買収されたSHARPは復活を遂げましたね。やはり日本の持っているブランドって素晴らしい(SHARPは技術もあったんだろうけど。)。
東芝のPC部門もSHARP(ホンハイ)に買収されたけど、同じく復活を遂げるのか今から楽しみです。
こうしてみると外資って世間で言われているほど悪くないと思うんだよね。
旧態然とした経営体制の方がよっぽど企業やそこで働く人にとってはマイナス。