<書評>10年後、生き残る理系の条件(竹内健)
「10年後、生き残る理系の条件」を読みました。
備忘録と自分用メモに。
p45 下の方の基礎原理をしっかり身につけておけば、その後に上の階層の視点を持つことは難しくありませんが、
最近詰め込み学習に対する批判がされていて、アウトプットの重要さが強調されがちだけど、物理や化学などの基礎学力をないがしろにしてはいけない、という話。
自分も高校生の時に物理や化学を勉強して、結局だいぶ離れた分野に関わっているけど、学んだ基礎的な知識って今でも役立っている。
実際に知識が直接役に立つわけではないけど、自分で仮説を立てて調べられ、調べてでてきた情報を理解できる、というのが大きい。
農業で農薬の成分、野菜の栄養分、土壌の状態について調べる時、機械の動力やエネルギー消費を概算するとき、世の中に溢れてるエセ科学や、過剰に危険を煽る(もしくはその逆)情報にも、比較的冷静な視点をもつことができる、など、挙げればきりがない。
p66 技術トレンドに沿った開発は、開発目標、やるべきことが明確な分だけ、競争も熾烈です。
既存の製品や機能上の数値の改善(ダウンサイズやCPUの高速化など機能上の数値の向上)では、差別化が難しいので、競争が激しくなる。特に数値が消費者の満足を満たすレベルに達した後は、それ以上の改善をしても消費者への訴求力が弱くなる。
確かに高い技術を用いた高性能な商品はあるけど、大事なのはそれが消費者へどのようなベネフィットをもたらすか。そこの方向性が明確でなく、なんとなく高い機能の製品を、これまでより高い機能を、と数値だけを追いかける組織は消費者にそっぽ向かれる。技術力をどう消費者の価値に転換するか、が大事。
p106 とことんユーザーの立場に立って考えること。
これも似たような主張で、大事なのは、製品よりもその製品(そこに使われている技術)が消費者にどのようなベネフィットをもたらすか、が大事で、機能の追及ではなく、使う側の気持ちを考えることが大事、ということ。
アップルのスティーブジョブズが例として挙げられてるけど、確かにアップルは、機能の高さもさることながら、ユーザーが製品を使うことにより、いかに気分良くなれるか、例えば、デザインに徹底的にこだわるなど、ということろに重点を置いてると思う。
p156, 157 想いを実現するための三つのルール
ざっくりいうと、1. その分野の先輩などに話をきいて情報を集める、2. 周りに自分がやることを公言する、3. チャンスが来たら頑張る。
2の周りに公言する、はかなり効果的で、自分も人生の岐路では、意識、無意識に結構使って来た。
例えば、
初めての転職活動中に、なんとなく尻込みしてしまっている自分にプレッシャーをかけるために、同期や先輩に転職宣言、やりたいこと宣言した。
足が止まっていた活動も、同期に定期的に進捗を報告する際に、何にも進んでいない、というのもなんとなく嫌で(要するに単なる見栄)、そこが背中をおしてぽつりぽつりと前に進んでいった。
また、相談した先輩に
「**してみなよ!おすすめだよ!」と言われ、
「はい!やってみます!」といってしまうと、
直前で日和って、忙しさなどを理由に逃げ出す、のような事態が回避できる。
まあ、意思が強くて自分でグイグイ動ける人には不要なのかもしれないけど。
<まとめ>
全体的にとんでもなく革新的なことが書いてあったわけではないけど、著者の経験が添えられた実用的なアドバイスは、自分の頭の中を整理するのに役立ったな、という感想でした。