Field Note

「ああ、なるほどね」を”おすそ分け” 国際協力、食、農業、経済、東南アジアを主とした雑記。

選挙に行っても意味がない? 僕が白票を投じるために選挙に行く理由

今週は衆議院選ですね。

 

僕は必ず選挙には行くのですが、学生の頃は恥ずかしながら、選挙行ってませんでした。

 

何故なら選挙に行く理由が分からなかったから。

 

選挙に行く意味、意義が無いと思ったから。

 

どこの政党が勝ってもどうせ同じだし。

 

投票したい政党ないし。

 

「選挙なんて行っても意味なくね?どうせ何も変わらないでしょ?」

 

なんて色々自分なりに理由をつけて、選挙権を得た後もしばらく選挙にはいきませんでした。

 

そんな考えを打ち砕いてくれたのは大学院時代の恩師。

 

大学院生時代のある日、僕と恩師と同期数名は、いつもの定食屋で定番の生姜焼き定食を食べながら選挙の話題になった。

 

僕が選挙に行ってないと言うと、恩師は驚いて、選挙には絶対行くよう言った。

 

入れたい政党がないんです。

 

と僕が言うと、恩師はこう言った。

 

恩師「おれだって入れたい政党なんてないよ。

だから毎回徳川家康って書いて入れるんだ。」

 

僕「え?それ行く意味あるんすか?」

 

恩師「めちゃくちゃあるよ。選挙の結果を変えることより、まずは組織票を薄める事が大事なんだ」

 

 

初めは言われた事がよくわからなかったけど、関係者のインセンティブなんかを色々考えてたらなんとなくわかってきた。

 

つまり、

 

全体の投票数を増やし、特定の団体、業界による組織票の占める割合(影響力)を薄めることで、

 政治家に、

「特定の団体だけが得するような政策ばっかりやってたらそれ以外の票で足元をすくわれる」

 と思わせること。

 

どう言うことかと言うと、次の通り。

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この図は投票率ごとの組織票の影響力を図示したもの。

 

わかりやすくするために、ある選挙区内の有権者数を100人、そのうち組織票を投じる利害団体関係者が20人、だと仮定してます。

 

まず前提として、組織票を作っている団体(JAとか)はほぼ投票に行きます(図のオレンジ色部分)。彼らはそれが自分達の利害を守ることに直結すると確信しているから。

なので全体の投票率が下がってもオレンジの部分の人たちの投票数は変わりません。

 

組織票を投じる人たち以外(緑色の部分)の投票数はまちまち。選挙に行ったり行かなかったり。この人達の投票数で、全体の投票数、投票率が決まります。

 

以下、各投票率別に見ていきましょう。上の図と照らし合わせながら読んでくださいね。

 

1. 投票率100% 全員が投票に行った場合。

この場合、組織票の占める割合は20%

大きい数だけど、当選を目指す政治家としては、この20%を取るためだけにあまり無茶な政策をやったら、ほかの80%にそっぽを向かれ、選挙で勝てる可能性は低くなります。

 

なので、仮に20%の支持基盤を持ってても、残りの80%の人たちにもそれなりに配慮した政策(予算の使い方)になります。

 

 

2. 投票率60%の場合

一般の浮動票が減ったことで、組織票の占める割合は全体の1/3(33%)になりました。 

あなたが当選を目指す政治家ならどうですか?

特定の団体や業界に有利な政策を打てば1/3の得票。

他の2/3にそっぽを向かれても、かなり有利な気がします。

こうなると、投票数の1/3を占める特定の団体に有利な政策(補助金のバラマキなど)をゴリ押しした方が(それ以外の人たちに使われるべき税金を削ってでも!)、選挙に勝てる見込みは高いと考えるかもしれません。

 

3. 投票率40%

組織票の占める割合は50%

勝つことだけを考えれば、もう一般の人がどうなろうが自分をしてくれている団体にバラマキでも何でもやるでしょう(倫理的な是非は置いておいて)

選挙に来ない人たちに使うべきだった予算はごっそり削り、補助金だなんだと、自分を支持してくれる人達に配りまくるのが(選挙で勝つという目的に則すれば)理にかなっています。

選挙に来ない若者なんか放ったらかしで零細農家に補助金だなんだとばらまいてるのはこう言う理屈です。

 

 

 ここでの数値は超適当な仮置きですけど、要は選挙に行かなくなる人が増えると、特定の利害団体が特をするってことです。

 

国の予算は限られているので、特定の利害団体が特をするってことは、それ以外の人達がその分損をしてる(その人たちに本来回るリソースが特定の利害団体に回されるので)、ってことです。

 

これに気づいてから、僕は選挙に欠かさず行くようになりました。

 

それでも、自分の一票なんて全体からしたら、たかが知れてる、と思うかもしれません。

 

そんな人はこう考えましょう。

 

選挙は綱引きみたいなもんです。

 

極論すれば、利害団体とそれ以外の一般の人の綱引きです。

 

綱引きって、自分が引いている影響は実感しにくいけど、実際に1人1人の力を積み上げたものが間違いなく綱を引く力を作ってます。

 

手を抜く人が沢山いるチームが、全員が全力のチームに勝てるわけはありません。

 

自分1人くらい、と言うのは、綱引きでこっそり手を抜くのと同じです。

  

合唱でみんなが歌ってる時、めんどいから、といって口パクしてるのと一緒です。

 

確かに、全体からすれば、1人1人の割合は小さいかもしれません。

 

でも間違いなく、その1人1人を積み上げたものが全体を構成しています。

 

ツイッターで政治家の悪口言ってる暇があったら選挙にいきましょう。

 

選挙に行かないで国や政治家、社会に文句を言うのは、

 

綱引きで手を抜きながら

 

合唱で口パクしながら

 

自分たちのチームが勝てない事に不満を言い続けるのと同じこと。

 

 

選挙にいこう。

  

 

白票だろうが、徳川だろうが、自分の名前を書こうがなんでも良い。

 

その一票には価値があるよ。